天然香料 vs 合成香料。それぞれの魅力

天然香料 vs 合成香料。それぞれの魅力

自然由来のものを選ぶようになってくると、「合成のものは悪」という考えが生まれがちではないですか? 実は私も、その一人でした。

食べ物もコスメも、なるべくナチュラルなものを。と変わってきた20代。特にアロマを日常で使うようになってからは、

「香水なんて、匂いキツいしケバいだけ(その昔は使っていました笑)」
「合成香料が入ってるものなんて使いたくない。ケミカルだし身体に悪い!」

という風に、「合成香料は悪」と毛嫌いしていました。

でも今は違います。

基本的には自然由来のものが好きな点は変わりませんが、香水も楽しみ、その芸術性にも惹かれています。合成香料にはその独自の良さがあり、また、天然香料にもいくつかのデメリットがあることを知ったのです。

この記事では、天然香料と合成香料それぞれの特徴や安全性について、詳しくご紹介していきます。 

天然香料とその特徴


自然界から採れた香料のことを、天然香料と呼びます。

天然香料は、植物性香料と動物性香料に分類されます。

植物性香料は、花、果物、葉、香木など、自然な素材から様々な方法で抽出される香り成分のこと。"精油 / エッセンシャルオイル" がこのカテゴリに入ります。

一方、動物性香料は動物の分泌物などから抽出された香り成分のことです。

現在は動物愛護の観点から、世界的な条約や法律で動物から香料を抽出することが禁止されています。

そのため、近年使われる天然香料のほとんどが植物性香料となっています。

 

天然香料のメリット


1. 香りがナチュラルで優しく、奥行きがある

自然界から抽出される天然香料は、自然そのもので、香りがナチュラルであるということ。人工的な香りとは違う表情を持ち、繊細で神秘的、そして奥行きが感じられます

香りの立ち方や濃さは、合成の香りほど強くはっきりしておらず、ふんわり優しく香ります。

強い香りが苦手な人や、できるだけ自然な香りを楽しみたい人には嬉しい香りです。

 

2. 心と体に働きかける

ある研究によると、植物から抽出されたものである精油、つまり天然の香りと、人工的に作られた似ている香りを嗅いだ場合、

前者の天然の香りの方が明らかにリラックス効果が高いという結果があるそうです。

天然の香りには、人工的な香りにはない、自然の恵みが詰まっているのですね。

 

天然香料のデメリット


1. コストが割高になる

天然香料の製造には、植物や動物からの抽出や収穫に時間と手間がかかります。

また香りが抽出できる量は、その動植物ごとに違います。
例えば、1kgの精油を抽出するのにラベンダーは200kg必要なのに対し、ローズはなんと5000kgもの花が必要になります。

このように、香りによっては素材が大量に必要になることで、値段が更に高額になります。

2. 香りの安定供給が難しい(質、量共に)

天然香料は、農作物のようなものです。その年によって収量や味が変わったりしますよね。

例えば同じ植物でも、産地によって香りが異なってきます。また、同じ産地でもその年の天候によって香りが変わることもあります。悪天候により収穫量が減ることもあり、結果価格にも影響します。

つまり、供給や香り成分が「不安定」です。

 

合成香料とその特徴


対して合成香料は、科学的に生み出された香り成分のこと。
自然界には存在しないものも含まれ、その数は約3000種類ほどあると言われています。

合成香料は、天然の植物からある特定の成分のみを取り出したもの(単離香料)と、石油系の原料などを人工的に合成して作られたもの(合成香料)の2種類に分類されます。

 

合成香料のメリット


1. 豊富多様な香りを生み出せる

合成香料は、科学的手法により様々な香りを再現できます。
これによって例えば、スズランなどのフローラル系の香りや、ピーチやラズベリーなどのフルーツの香りなど、幅広いバリエーションの香りを創り出すことが可能です。

 

2. 香りが安定している

天然の香りに比べ、合成で作られた香りは安定感に優れています。
時間が経っても香りが変化しにくいことや、同じ香りを再現しやすいことが特徴です。

また、合成香料は制御された環境で作られるため、安定性と一貫性があります。

 

3. 経済的

合成香料は天然香料よりも製造コストが低い傾向があり、これが価格にも反映されます。大量生産も可能です。そのため安価で安定した供給ができます。

 

合成香料のデメリット


1. 香りが強すぎる

メリットともなる部分ですが、香りが強く長時間持続するため、違和感となったり、一部の人々にとって頭痛、吐き気、めまいなどのアレルギーや過敏症の引き金となる可能性があります。

また特に閉鎖された空間では、香りの強さが他者にとって不快に感じられることも。

 

2. 化学物質が健康問題を引き起こすリスクがある

合成香料は化学反応によってできています。使いすぎてしまうと体内に多くの化学物質が吸収・蓄積される可能性があり、その結果、頭痛やアレルギーの症状などの健康問題が発生することがあります。

 

天然香料の方が安全で、合成香料は危険?

「天然由来だから、優しい」そんな印象もあるかと思います。ですが残念ながら、必ずしも「天然だから安心」というわけではないのです。

天然香料は自然由来の植物や動物を原料としているので、原料自体にさまざまな成分が含まれています。中にはかぶれや赤みなどのアレルギーを引き起こしてしまう物質が混ざっていることも(主に肌に使用した場合です)。

例えば女性にも人気のベルガモットの精油。
光毒性をもつベルガプテンという成分が含まれており、一定以上の濃度で肌につけたまま日光などの紫外線を浴びると、色素沈着や火傷など障害を皮膚に及ぼすリスクがあります。

*この成分が除去された、光毒性がないベルガモットの精油もあります。

その一方、食品や化粧品に含まれている合成香料は、厳しい安全基準をクリアしたものです。

合成香料は安全管理体制のもと、厳しく品質管理がなされています。そして安全基準を満たしたもののみが市場に流通しており、使用量に関しても規定があるため一定の安全性はあると言えます。

確かに香りの立ち方などは優しい天然香料ですが、イコール安全ではありません。
天然であることと、安全であることは、別だということですね。

 

それぞれの用途

合成香料は、安定した品質で大量生産が可能なため、コストを抑えることが出来るのが長所。

柔軟剤や洗剤、ルームフレグランス、食品のフレーバーなど、さまざまな日用品に使われています。

そして香水にも使用されますね。以前は階級の高い限られた人にしか使えなかった香水も、19世紀に合成香料が発見されたのち一般市民にも広がり、多くの人が香りを楽しむことができるようになりました。

対して天然香料ですが、その流通量は、香料全体の5%前後だと言われています。

主な用途は、アロマセラピー。そして香水にも用いられます。
気候による品質・収穫量・価格の不安定さ、安全性・安定性、資源保護などの問題がある一方、天然香料の持つ自然で奥行きのある神秘的で完成された香りは、香水などの香りを創る調香師たちを魅了してやみません。

そんな理由で、高品質で希少なオーガニックの天然香料を使用して製造される、いわゆる"メゾン系香水" が、近年の世界的な自然志向の高まりに伴い、再び国際市場で注目を浴びています。

 

最後に


天然香料と合成香料、どちらにもそれぞれ良さがあり、用途によってもどちらを選ぶべきかが変わってきます。

ちなみにipsentiaでは、天然の香りのみを使って香りを創っています。では、どうして天然香料を選ぶのか。

それは、天然香料からは「安らぎ」が感じられるからです。

心身疲れ切っている時や、気持ちが落ちている時。そんな時こそ、天然の香りを嗅ぎたくなる。

そしてそんな状態の心身にただ寄り添い、優しく包み込んで、前に進む力をくれる。

数えきれないほど助けられました。

自然の中に身を置くと、疲れが癒され、心が安らぎますよね。その結果、身も心も整い、本来の ” 元気” な状態に戻ることができます。

精油は、自然界に存在する植物から抽出されたものです。同じように私たちに働きかけてくれるということを、大きく体感しています。



もちろん、心も体も調子が良くて元気な時は、合成香料が使われている香水もボディクリームも楽しめば良い^^

こんな風に私自身、気分に応じて使い分けながら、香りを楽しんでいます。

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